2023年度

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世界初!光の力で分子内部の電子の歪みを可視化 ―集積分子材料のデザインに不可欠な情報の画像化に成功―

菅原康弘教授(大阪大学大学院工学研究科)、石原一教授(大阪大学大学院基礎工学研究科)、余越伸彦准教授(大阪公立大学工学研究科)、山根秀勝研究員(大阪産業技術研究所)らの研究チームは、光照射により発生する力(光圧)を計る顕微鏡(光誘起力顕微鏡)を用いて、分子の中で電子が歪む様子を1ナノメートル(10億分の1メートル)以下の分解能で画像化することに世界で初めて成功しました
基板や配列をデザインして一つ一つの分子を積み上げ新しい機能を持つ物質を創り出す技術は、将来の省エネルギー社会の創造に欠かせない技術として期待されています。しかし、配列した分子など、多様な環境中にある分子の性質は、それが単独であるものとは通常著しく異なります。周囲との相互作用の結果、分子の性質を決める電子が移動したり、その状態も強く歪んだりするので、それを理解した上での材料設計が必要です。今回、研究チームは層状に積まれた単分子の一つ一つを光が誘起する力を用いて観測し、分子内の電子が歪み、電荷分布が分子より細かい複雑な構造を持つことを原子分解能に迫る光圧画像で確認しました。また通常の光だと吸収せず透明に見えてしまう波長での像が観測できたことも特徴です。機能性集積分子材料の設計・評価のための新しい基盤技術として期待される成果です。
本研究成果は、12月29日、米国化学会の学術誌「ACS nano」のArticlesオンライン速報版で公開されました。

◆ 大阪公立大学プレスリリース

◆ 電子物理工学分野 ナノデバイス研究グループ